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2005.12.16
 後輪駆動+スタッドレスタイヤのセダンで雪深い山の上の病院を目指しました。来週、仕事で行く予定がありその下見でした。アイスバーンの自動車専用道路を途中で降りて、その道路の下をくぐると山の入り口です。

 函館は今年は雪が断続的に降り続き、かなり深く積もっています。一般の幹線道路ですら雪のためスムースに走行できる場所が限られている状況ですから、山へ向かう道は交通量が少ないせいもあり、雪がより深く、非常に狭く、すべります。慣れていないとちょっと勇気が要ります。私は慣れていませんでした。

 例によって一番悪いのは私でしたが、二番目に悪いのはお惚けカーナビです。かなりの確立で、ゴールではなくその近くの、抜き差しなら無い状況に導いてくれることが非常にしばしばあります。例えば彼にとっては、物凄く人が多い駅前の自転車置き場行きの一本道で袋小路(Uターンできず)でも、私が指示した場所に一番近いと判断した場合はゴールなのです。主人に忠実な可愛い奴。首があったら絞め殺してやる。

 今回の彼の指示は、本当の目的地へ行く道の直前で、より山奥へ進んでゆく方へ曲がれ、というものでしたが、その時はもちろんそうとは知りません。私は何度もひどい目にあっているにも関わらず彼に従いハンドルを切ったのです。時間は午後4時半で雪雲のせいもあり、道の先は真っ暗です。街灯などありません。ワイパーを必要とするほどの雪が断続的に降り続いてます。しばらくすると車など通れそうもない細く急なほとんど崖のようなものが見えてきました。そこを下るとどうやら目的地にようでしたが、車で行くなんてとんでもなく、かといって朝から人っ子一人通っていない深さがどのくらいあるかわからない雪道です。やられた、と思いました。先ほどの分かれ道、どう見ても交通量は彼の指示と反対の方が多かったのです。

 ところで、今来た道は途中も道幅は狭く、また前後の目に届く範囲にはUターンできそうな場所はありません。仮にあったとしても十分な大きさがないと、怖くてUターンできません。雪が深すぎて今にもスタックしそうな状態ですから、道から外れたとたんに足(タイヤ)を踏み外しそうです。そうなったらもはや自力では逃げられません。そんな賭けはできない。私はほとんど横滑りしそうな坂道を、よたよたと、十分な大きさの逃げ道を求めて前進し続けました。バックで戻るには進みすぎだったのです。

 白い雪道にはタイヤの後が2本。2本のみ。入っていって帰ってきた者がいないという意味でしょうか?道の両脇は溝やらなにやらがあってもまったく見えません。路肩があるかどうかも不明です。道だけが盛り上がっている感じで、外れたら転がり落ちてしまうように見えます。しばらく進んで角を曲がると突然眼下に町の灯が見えました。所謂函館の裏夜景でしょうか?いつのまにかこんなに高く上ってしまった!はるか彼方に文明世界。私は後戻りできずいつ行き止まりになるかもしれない真っ暗な雪山でつるつる、よたよた。道は上へ上へ。ガソリンが切れたら。エンジンが止まってしまったら。こんなところにはJAFは来てくれません。それに、ここがどこか説明することができません。

 突然、怒った犬が車に突進してきました。助けを求めているのか?単に彼のテリトリーに進入してしまったのか?それより、何でこんなところにこんな時間に犬?人の住んでいる気配は目の届く範囲にはまったくありません。小型車が少し先に止まっていて完全に埋まっています。降り止まぬ雪、私を導くニ本の車輪の跡はその車を通り過ぎて続いていましたが、雪で消えそうです。何故か地獄から来たような怒れる犬。車の墓場に私が仲間入りする番なのでしょうか?あの車のドライバーはどこへ行ってしまっただろう?どこまで、この細い白い道は続いているのだろう...。

 結局しばらくして道は下りになり、やがて正常な世界の道路に出ることができました。這う這うの体(ほうほうのてい)で私は山の死神の手から逃れる事ができました。しかし、当分夢に見ます。心にしっかりと傷が付きました。真っ白な雪、真っ暗な空、足元は不安定、今まで来た方も行く先も、何があるのかまったく見えず、コースを外れたら奈落の底へ落ちそうな、分かれ道(選択肢)の無い一本の道に、突然襲いかかる理不尽な怒り。助けてくれそうな人ははるか彼方で私は一人ぼっち。でも、結局あきらめずによたよたと完走。

 これはひょっとして、私の人生か。
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