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2008.03.23



 ほんとに邪魔

2008.03.23



 怒りの心理学 − 怒りとうまくつきあうための理論と方法 
  湯川 進太郎  編  (有斐閣)

 怒りに関してあらゆる角度からの分析、考察、その制御方法、最新の理論まで網羅されている心理学の専門書ですが、幅広い読者に読んでもらいたいという意図で編纂されていますので、大変に読みやすくわかりやすい言葉や表現で書かれています。もちろん本書で紹介されているさまざまな怒りをコントロールするための手段を実践できればいいのですが、そこまでいかなくとも日常生活でついカッとなりそうな時に、本書の理路整然とした客観的な記述の一部でも、たとえば”怒りとは、「自己もしくは社会への、不当なもしくは故意による(と認知される)、物理的もしくは心理的な侵害に対する、自己防衛もしくは社会維持のために喚起された、心身の準備状態」である”などと呪文のように唱えるだけで、あっというまに冷静になること請け合いです。さらに、自分がかっかとしている時に第三者が冷静な目で自分の心理状態をこのように観察しているかもしれないなどと考えると、なんか怒りづらくなってしまいますね。

 一方「怒り」のもつ、よい面などももれなくフォローされています。特に、「怒りが人間にとってまったく不必要なものであれば、進化の過程でなくなってしまってもよかったのではないでしょうか」、などといった一方向からだけではない網羅的な視点は大変重要です。「喜び」にだって悪い面があることには案外気付かないものです。物事を一面だけから捉える事の危うさにまで思いが至る本書はなかなか得るところが大きく示唆に富んだ、久しぶりにお腹いっぱいの一冊でした。